バンクーバー フィギアスケート

ある方のレポートです。
転載OKだったので転載します。

私達フィギュアファンが,ずっと思ってきた事がまとめられてます。

無理にコメントを書かなくて大丈夫です。
ただ,みんなに読んで貰いたいだけです。



↓以下転載↓


「浅田真央が戦ってきたもの」


■1.はじめに

私がフィギュアスケートを見る様になったのは,リレハンメル五輪のシーズンのグランプリシリーズ,NHK杯からですから,もう17年になろうとしています。
その,フィギュア観戦生活の中で,私は今,これまでに味わったことのない様な,暗澹たる思いで胸がいっぱいです。バンクーバー五輪の女子シングルの競技を終えて,一夜明けた今,寝るに眠れず,このレポートを書いています。

果たしてそれにどんな意味があるのか。私にもわかりません。ただ,いちフィギュアスケートファンとして,この現状を諦め,口をつぐむには,あまりにも今回の出来事は悲惨すぎる。少しでも多くの人に,現状を知って欲しい。そう思って,このレポートを書くことにしました。

もちろん,主観だらけの内容になってしまうと思います。けれども,理解して頂きたいのは,そこにあるのは,フィギュアスケートに対する愛です。誰がなんと言おうと,私はこのフィギュアスケートという競技を愛しているのだと思います。どんなに辛い思いをしても,納得できなくても。

フィギュアスケートファンとして,浅田真央のファンとして,今回の結果がどうにも納得できないと言ったら,ほとんどの人はこう思うでしょう。「ミスをしてしまったのだからしょうがない」「キムヨナは完璧だったのだから」。

敗者は口をつぐむのが,日本では美徳とされています。私はそれを否定するつもりは全くありません。けれどもそれは,フェアに競技が行われた上での結果というのが大前提ではないでしょうか。中には,フェアではなかったとしても,それすらも納得して口をつぐんでしまう人も,日本人には少なくないと思いますが...

はじめに断っておきますが,私は決してキムヨナが嫌いな訳ではありません。むしろ,4年前世界フィギュアで彼女の存在を認識した時は,浅田真央という天才にライバルができ,切磋琢磨できる状況になったという事を歓迎しました。彼女達が,これからどのように戦っていくのか,胸を躍らせた程です。

間違えてほしくないのは,このレポートが「キムヨナ批判」ではないという事です。時には,キムヨナ本人を批判する様な書き方になってしまうかもしれませんが,私にはそのような意図は全くありません。むしろ,キムヨナもある意味では被害者であるといえると思います。世界最高点を叩き出し,金メダリストとなったキムヨナは,素晴らしい選手だ,天才だ,と思われている事でしょう。ですが,実はフィギュアファンの目から見れば,主観を抜きにしたとしても,稀有な才能の持ち主というには,キムヨナは余りにも凡庸すぎる。ジャンプにしろ,ステップにしろ,スピンにしろ,スパイラルにしろ,全ての要素において,浅田真央に迫るものですらないのです。では何故,その彼女が「世界最高点」を出すに至ったのか。たゆまない努力の賜物だから,讃えるべきだという人も居るでしょう。しかし実は,その裏には様々な理由があるのです。

あの大舞台にノーミスで滑れた事。それ位は讃えてもいいと思われるかもしれません。しかし,です。

前置きが長くなってしまいましたが,私なりに,今回の出来事を分析してみようと思います。潔くないと言われても構いません。この腐ったフィギュアスケート界をなんとかしたいと思っている人間は,沢山居るのです。それを,少しでも多くの人に知って貰いたいと思います。


■2.トリノ五輪後に4年がかりで浅田真央がされてきた事

*キムヨナがフリーで3回も使うダブルアクセルの基礎点が突如3.3→3.5点にUP。加点をつける基準が難しい3回転と同じなので,簡単なダブルアクセルの前後には工夫が出来,あっさり毎度トリプルループ以上の点に。

*トリプルルッツとトリプルフリップの踏みわけが厳格化され,真央が1試合3回使う得点源であり,3回転で1番基礎点の高い技トリプルルッツが不正扱いで,使う度平均2~3点も減点。修正しない限り組み込めなくなる。

*真央の甘かったシットスピンの認定基準も厳格化。しかし真央即座に対応し深いシットスピンに。

*実はキムヨナも3回転で2番目に基礎点の高いトリプルフリップの不正があった。
ところが,何故かキムヨナの不正トリプルフリップだけは見逃され続け驚異の加点。
それでも真央が2008年ワールドで優勝してしまう。

*その直後,来シーズンから今度は回転不足の厳格化を発表。
更にトリプルルッツを跳べないでいる浅田に,浅田の得意な3回転半を除いた3回転5種類を跳んだ場合のボーナスを出す情報が流れる。

*予想通り真央のトリプルアクセルとトリプルループ,安藤のトリプルループ,特に2人ともセカンドトリプルループが怖い位に全く認められなくなる。

*ところがキムヨナの得意なセカンドトリプルトゥループだけは決して回転不足にならず,初戦のアメリカ戦でトリプルフリップがまた見逃される。
しかしVTRではっきりトリプルフリップの不正が映ってしまい,2戦目からエラーではない「!」の注意がつくも,彼女だけマイナスにならず,小さいながら加点がつき続ける。

*真央がトリプルサルコウを克服しルッツもなんとか矯正してくる。対照的にキムヨナはトリプルループが跳べなくなる。真央が文句の付け様のない演技をしてグランプリファイナル優勝。
すると,いつの間にか5種類ボーナスの話しが立ち消えに。

*五輪シーズン,8月に韓国でルール改正決定。真央の最大の得意技トリプルフリップも,蹴る足がつま先ではなくブレード全部で蹴ってるからと減点に。
ジャパンオープンで矯正しても不正扱いされ,浅田の最後の砦トリプルフリップも減点。
しかも,いじっていびつになり質が悪化,ついでにトリプルトゥループにも減点ジャッジが登場。

*2010年度初戦で真央に回転不足4連発判定。内3つは明らかに回転足りてるループ。
五輪シーズン,彼女のループを2回転含め全て潰す意図が明確に。
キムヨナはトリプルフリップの不正は再び注意も付かなくなり,フリーではトリプルフリップを跳ばずに世界最高得点更新。



いかがでしょうか。


浅田真央は,4年もの長きに渡って,これだけの仕打ちに耐え,乗り越えてきたのです。これだけの,浅田真央に不利でキムヨナに有利なルール改正。浅田真央が,何十年に一度の稀有な才能の持ち主でなければ,ここまで露骨なルール改正はなされなかったかもしれません。これでもか,これでもかと浅田真央を潰しにかかり,それでも潰れなかった浅田真央は,本当に頑張ったし偉いと思います。


■3.浅田真央の代わりにプルシェンコが滑ったら...

(http://nereidedesign.jugem.jp/?eid=205より転載)

日本の皆さんは「浅田真央がノーミスなら当然金メダルだったはず...」と思っているでしょう。

違います。

浅田真央の代わりにプルシェンコが滑って,4回転ジャンプをかましても,キムヨナに勝つのは無理なんです。

だから浅田真央は滑る前の,気持ちの持って行き方に迷いが出たのです。絶対勝てない,って分かってたから。

フリー種目だけを,男子と同じPCS(*女子は×1.6,男子は×2.0)で計算すると,キムヨナはジャンプが1回少ないにも関わらず,金メダリストのライサチェクの得点を超えます。

女子金*キムヨナ
(12要素ジャンプ7回)
FS 168.00点
[TES 78.30(加点17.40)PCS *89.70]

男子金*ライサチェク
(13要素ジャンプ8回)
FS 167.37点
[TES 84.57(加点9.64)PCS 82.80]

男子銀*プルシェンコ
(13要素ジャンプ8回)
FS 165.51点
[TES 82.71(加点7.68)PCS 82.80]


どうしてそんな差がついたの?

ジャンプは真央の方がはるかに難しいのを完全に決めたじゃないか。キムヨナは10位の選手と同じジャンプしか出来なかったのに。

一言でいうと,審判のおまけポイント。
気分次第で10点20点の差ができる仕様になっております。


《GOE女子/男子》

1位 ヨナ 17.40
ライサチェク 9.64
2位 真央 8.82
プルシェンコ7.68
3位 ロシェット 4.42
高橋 3.20
4位 長洲 8.50
ランビエール 2.58
5位 安藤 5.30
チャン 3.80


そして当日,韓国人審判とカナダ人審判が入っておりました。だから,
『OPの試合だが,全く緊張しなかった』
などと余裕をぶちかませたのです。

色々な感情がありますが,まずは浅田真央という選手を賞賛するべきでしょう。

スキージャンプよりも酷いルール変更の連続に苦しめられて,それをたった1・2年で修正してきて,「用意された王者」を脅かす所までいったのです。 


■5.さいごに

この4年というもの,フィギュアスケートファンが,どれほどの憤りを抱えてきたか,おそらくフィギュアを五輪でしか見ない人には想像もつかないでしょう。
けれど,ここまでのまとめで,少しだけでもわかって頂けたでしょうか。
それでも...と思われるでしょうか。

私達が忘れてはならないのは,浅田真央は間違いなく,世界的に見ても何十年に1度の稀有な才能の持ち主であり,キムヨナは凡庸な選手でしかないという事です。

凡庸な選手を,何年もかけて,さもものすごい選手であるかのように仕立て上げた。五輪という大きな舞台で,世間に文句を言わせないために。

キムヨナの演技というのは,フィギュアをよく知らない人から見れば,パーフェクトで素晴らしいものに見えるかもしれない(点数という後押しもあり)。
しかし,フィギュアを少しでも詳しく知る人間から見れば,キムヨナの行っている演技は,五輪10位の選手とも大して変わらない,平凡なものです。
ただ難易度の低いプログラムを,自信たっぷりに滑っているから,素人目には素晴らしく見えるだけなのです。
ジャンプ以外の要素...ステップ,スピン,スパイラル。
全ての要素について,それは言える事です。

では,自信たっぷりに滑れる彼女の精神力を讃えるべきだと言われるかもしれません。ですが,上記にあげたように,キムヨナは様々なものから守られている。採点基準・審判・マスコミ...

バンクーバー五輪フリーにおけるキムヨナの得点はどの様なものか,簡単に言ってしまえば,あのプログラムから,3-3のコンビネーションジャンプと3回転ジャンプを1回,すっぽ抜けたとしても優勝してしまえる,その様な異常な高得点なのです。
ですが,コアなファンでなければ,そんな事はわかるはずもありません。1回や2回転んでも優勝出来ると分かっている選手と,世界最高の技をパーフェクトに滑っても優勝出来ないかもしれない選手が,同じプレッシャーである訳がありません。

そのような,プレッシャーのない状況ですから,キムヨナがノーミスで滑れるのは,別に驚くべき事ではないのです。

フィギュアスケートは,芸術的要素を多分に含んではいますが,スポーツです。それなのに,難易度の低いプログラムをプレッシャーのない状況で滑った選手が勝ち,異常なプレッシャーの中で,それでも大技に果敢に挑戦した選手が負ける...
そんなことがあって許されていいのでしょうか?

高得点が出るのはキムヨナの方が,表現力に優れているからでは?と思われる方は,上にある画像をもう一度見て頂きたい。明らかに,浅田真央のほうが技術だけでなく表現力にも優れている事がよくわかるでしょう。


平凡平凡と何度も書きましたが,それは浅田真央と比べたらの話であって,キムヨナに才能が無い訳ではありません。トップレベルである事は間違いない。ただ,浅田真央が天才過ぎただけです。浅田真央が天才過ぎなければ,ここまで念入りにキムヨナを「世界最高」に仕立て上げる必要もなかったかもしれない...とも思います。
ある意味,キムヨナも被害者かもしれないというのは,そういう所にあります。


「仕立て上げられた世界王者」この言葉を,私はこれからもずっと忘れないでしょう。
そして,浅田真央がこの4年間で何をされてきたか,そしてそれをいかにして乗り越えてきたか。それを,私はできるだけ多くの人に伝えていきたいと思っています。
冒頭にも書きましたが,私はフィギュアスケートを愛しているからです。


浅田真央は間違いなく,もっともっと世界的に評価されなければいけないスケーターです。私は,浅田真央とキムヨナが甲乙つけがたいと評価されるだけでも我慢がならないのです。


どうか,この思いが,少しでも多くの人に伝わりますように。


そして,フィギュアスケートの現状が少しでもいいから変わりますように。



以上,引用でした。